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『氷菓』の聖地・岐阜県高山市の聖地巡礼レポート

2023年4月2日から4日、僕は『氷菓』の聖地である岐阜県・高山市に訪れた。一応、高山はこれが初めてではない。2022年7月に一度、高山に訪れている。

今回の旅の目当ては、2023年4月3日に行われる生きびな祭りだ。この祭りは、実際に『氷菓』にも登場した祭りなので、ぜひとも訪れてみたかった。

さて、実際に訪れて、まず驚いたのが、外国人観光客が激増していたことだ。僕が初めて高山に訪れた時は、まだインバウンドが回復していない時だったので、外国人観光客はほとんどいなかった。しかし今となっては、日本人よりも外国人観光客の方が多い。

そしてお目当ての生きびな祭りは、想像以上に面白かった。生きびなは美しいし、餅まきも中々に楽しい。

生きびな祭り
目次

岐阜県高山市とは?

高山市は岐阜県北部に位置する市で、Wikipediaによると、日本で最も面積の広い市区町村だ。だからといって、観光スポットが点在しているわけではなく、基本的にはJR高山駅周辺に集中している。そのため、高山駅周辺に宿を取っておけば問題ないだろう。

Good Point

高山の最大の魅力は、古い街並みにある。江戸時代以来の城下町が大切に保存されており、日本で最も観光資源の豊富な小京都であるのは間違いない。しかもそれらの観光スポットのほとんどが、徒歩で回れる。

古い街並み

また、高山に一度訪れることで、白川郷・下呂温泉・金沢・名古屋などの観光スポットに回りやすいのも特徴だ。実際、僕が初めて高山に訪れた際は、名古屋→高山→金沢→白川郷で回れたので、相当に楽しめた。特に金沢と名古屋は食が豊富だから、食べ歩きが好きな観光客にはぜひとも「名古屋→高山→金沢」ルートを推したい。
それだけでなく、高山周辺には自然を活かしたアクティビティも満載なので、アウトドア好きにはたまらないだろう。

グルメに関して言うと、高級食材である飛騨牛と、低価格帯である高山ラーメンの両刀が強い。お金に余裕のある人は飛騨牛のステーキを食べればいいし、お金があまりないのであれば高山ラーメンを食べればいい。しかも高山ラーメンは、800円ほどのコスパ志向から、2,000円手前の高級志向まで揃っているので、さまざまな価格帯の観光客を取り込めている。
それとグルメといえば、朝市も見逃せない。高山には、陣屋前朝市と宮川朝市の2種類の朝市が存在しており、特に宮川朝市はよく盛り上がっている。

宮川朝市

Bad Point

高山の難点は、やはりアクセスだ。東京から高山に向かおうと思うと、どんな方法を使っても最低4時間はかかる。新幹線だと富山経由か名古屋経由が考えられるが、どちらも4時間は見込まなければいけない。また、山梨を経由する高速バスも、やはり4時間以上はかかる。4時間もあれば、京都はもちろんのこと、北海道・沖縄・福岡にも行けてしまうわけだから、そう考えると、優先度は落ちがちだ(それでも外国人観光客がめちゃくちゃ多いからすごい)。

また、JR高山本線の使い勝手が悪い。これはローカル線によくある話だけれど、ワンマン方式はやっぱり慣れないし、交通系ICカードに対応していないのは問題だと思う。それと、濃飛高山バスの決済方式の仕組みがよくわからない。高速バスなのか路線バスなのか、その見分けがつきづらいので、予約制なのか乗り込み制なのかよくわからないのだ。

これと同じ話で、キャッシュレスに完全対応していないのも惜しい。特に高山ラーメンは、やはり現金主義の店舗が多く、キャッシュレスに対応していない場合がある。

そして現在の高山における最大の問題点は、ディナーの不足だ。恐ろしいぐらいに、ディナーを提供している店舗が少ない。Wikipediaにも「高山市街地では素泊まり型ホテルなど夕食を提供しない宿泊施設が増え、観光客数が多いのに対して飲食店数が少ないという問題があり、高山市や高山商工会議所は市外からの飲食店誘致を図っている」と書かれているが、確かにその通りだ。

夜の高山

だから夜の高山市街を歩くと、ディナーを探しにうろうろしている外国人観光客をたくさん見ることができる。なお、個人的には、飲食店も大事だと思うけれど、何らかの形で観光客にキッチンを提供するのもいいのではないかと思う。というのも、飛騨牛は全国的に”安い和牛”なので、現地で飛騨牛を購入して調理するスタイルだったら、中価格帯の観光客の方々にも飛騨牛を楽しんでもらうことができるからだ。

高山のアニメツーリズム

高山のアニメツーリズムと言えば、やはり『氷菓』だ。

『氷菓』の原作者である米澤穂信先生が高山出身ということで、高山が舞台となっている。TVアニメの再現度も高く、数多くのアニメ聖地が生まれた。しかもそのほとんどが、アクセスをそこまで苦としない場所にある。

実際に赴いてみると、高山自体の観光資源が非常に豊富であるため、『氷菓』プロモーションが積極的というわけではない。しかし街中で『氷菓』のポスターが貼られていたり、実際にグッズが売られていたり、えるたその飛び出し坊やが設置されていたり……。そして放送から10年経った今でも、定期的にイベントが開催されている点を見ると、高山市が『氷菓』を大事にしているということがわかる。

特にイベントに関していえば、毎年4月3日開催される生きびな祭りは見逃せないイベントだ。生きびな祭りは『氷菓』の作中に登場した祭りである。

高山市は春・秋の高山祭を推してはいるものの、生きびな祭りは積極的にプロモーションしていない。だから他の祭りに比べると、ローカル色が非常に強い。実際、僕が生きびな祭りに参加した際、少なくとも僕が見た限りでは、外国人観光客はゼロだった(アジア系はいたかもしれないけれど、見分けがつかん)。高山駅の隣にある飛騨一ノ宮駅のアクセスにもかかわらず、だ。

また、高山の隣にある飛騨市には『君の名は。』の聖地がある。それに、高山からバスの日帰りで行ける白川郷では『ひぐらしのなく頃に』の聖地巡礼も可能だ。もし高山に訪れるのであれば、ついでに『君の名は。』と『ひぐらしのなく頃に』の聖地巡礼を実施するのがいいと思う。

高山のアニメスポット

『氷菓』の聖地巡礼を実施する際は、高山市図書館とバグパイプには訪れておきたい。どちらも『氷菓』のファンのみが訪れる観光スポットだからだ。

高山市図書館
バグパイプ

高山市は江戸時代からの街並みを保存し続けたわけだが、それに伴い、明治・大正風の建築物も保存されている。

バグパイプは店内もおしゃれなので、ぜひ訪れてみて、コーヒーとケーキを注文してみてほしい。

編集後記

それにしても本当に、高山の外国人観光客の多さには驚いた。観光客全体の3分の2が外国人だったと思う。にもかかわらず、ゴミがほとんどない。

あと、とにかく景観に注力しているのもわかった。ファミリマートのチェーン店などのカラーリングが変更されているのはもちろんのこと、ゴミステーションまでもが高山仕様になっている。

とはいえ、決済システムにはまだまだ問題がある。一応、飛騨高山には、日本国内で数少ない地方通貨の成功事例である「さるぼぼコイン」がある。たしかに「さるぼぼコイン」は、地方通貨としては悪くない。だが、それよりもまず、キャッシュレスを全面的に進めなければならないだろう。

個人的に「さるぼぼコイン」は、インバウンドとの相性が良いとは思えない。なぜなら外国人は、アプリをインストールすることを億劫に考える場合が多いからだ。自分の立場になって考えてみてほしい。外国製のアプリを現地でインストールするのは、それなりに面倒なはずだ。少なくとも「もしカード決済か地域通貨決済かどちらかを選べ」と言われれば、絶対にカード決済に軍配が上がる。だから地域通貨とインバウンドとの兼ね合いが、高山市の当分の課題になっていくだろう。

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